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人間と感染者の境界線はどこなのか『アイアムアヒーロー』第62話 [アイアムアヒーロー]

【ネタバレ注意!】本記事はネタバレを含みます。本編を未読の方はご注意下さい!


憤怒の表情の比呂美。

直接的な描写はありませんが、感染者のおじさんは
今まさに八つ裂きにされている最中のようですね。

腹を裂かれ、両目に指を突っ込まれ・・・。

目を奪われたままの英雄の表情からも、その陰惨な光景が想像できます。


ここで荒木がヒステリックなまでに怒鳴りながら、英雄に携帯電話を渡します。

ディスプレイに表示されている曲は、くるりの『カレーの歌』。

富士の樹海での回想シーンで、紗衣との会話の中で出てきたのが、くるり。

それを聴いた瞬間、かつて日常の中で見慣れた光景が次々と蘇ります。

最後は、紗衣と二人で虹を見上げた踏切。

比呂美にとって、楽しく、温かな気持ちになれた数少ない思い出。

その象徴が、くるりなのでしょう。


よく見ると、おじさんを「手術」している時には、
比呂美の顔の左側にも血管が浮き出ていましたが、
ヘッドフォンから流れる曲を聴き、落ち着きを取り戻してからは
その浮き出た血管も見えなくなりました。

感情の昂りによって、ある種のリミッターが外され、
発揮されるパワーも上昇する傾向にあり、
逆に落ち着きを取り戻せば、まるで人形のようになすがままとなる。

英雄と荒木は、富士山の五合目の件以降、それを知ったのでしょう。


興奮冷めやらぬ荒木は、突破したことに安堵する英雄に向かって
執拗にギャンギャンとわめき散らします。

この人、比呂美を「それ」呼ばわりしたり、
面倒なことを全て英雄にやらせて、自分は指示を出すだけだったり、
かと思えば、急に謝って「俺達」という言葉で協力関係を繋ごうとします。

この狡猾さ、やっぱり三谷さんと似ていますねー。

一方の英雄は、比呂美の汚れた下着をそっと隠す心遣いを見せます。

比呂美も含め、感染者を「人間以外のもの」と見ている荒木に対し、
英雄は比呂美をまだ「人間」として見ているという認識の違いが表れています。


さて、場所は移り、今度はコンビニです。

コンビニなら地図も売っていますし、英雄が言うように食料や薬品も揃っています。

が、高い棚や倉庫、カウンターの裏など、物陰が多いのもコンビニの特徴。

一人の客も従業員もいない、全くの無人に見える店舗内ですが、
このまま無事に済むとは思えません。

ビッシリと揃った豊富な品揃えの店内が、逆に不気味な雰囲気。


というわけで、年内の『アイアムアヒーロー』は今回で最後。

年明けの号は休載らしいので、再開はその次の週ですね。

今週末に発売される単行本第5集を読みながら待つとしましょう。

【追記】

クリスマス・年末年始のお供に! 単行本第5集の記事はこちら

連載再開された第63話の記事はこちら


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