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『Pinch kicker(前編)』手原和憲・著 [マンガ全般]

今週のスピリッツに掲載された読み切り漫画。
 

『ミル』で注目を集める手原和憲さんの作品ですね。


“Pinch kicker(ピンチキッカー)”という、
サッカーファン以外には、あまり聞き慣れないであろう言葉が
この作品のタイトルです。

扱っている内容は高校サッカーですが、
そこに描かれているのは、怪我に苦しむチームメイトと、
彼と同様に苦しみながらも見守る友人の物語。

目を見張るような凄いテクニックの応酬もありませんし、
ライバルとの死力を尽くした戦いも、
全世界から注目される檜舞台も、この作品には出てきません。

しかし、サッカーを底辺で支える人々の中にも、
その人々の数だけ苦悩や葛藤や友情や喜びがあり、
日々、無数の物語が生み出されているはず。

『Pinch kicker』は、それを描いた漫画です。

ともすれば湿っぽくなりそうな題材ではありますが、
所々にギャグも散りばめられており、
サッカーに詳しくなくても充分に楽しめるので、オススメですね。


デビュー作の『ミル』もそうですけど、
手原さんの作品は、常に優しい目線で登場人物たちを描いているので、
読者としては、安心して読むことが出来ます。

もし、ハッピーエンドではない終わり方であっても、
そこには必ず何かしらの救いを描いて終わってくれるはず。

その安心感が「手原和憲」という漫画家の最大の魅力ではないかと思っています。


次号、この後編が掲載されますので、楽しみに待ちたいと思います。


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