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見ているものは三者三様『アイアムアヒーロー』第63話 [アイアムアヒーロー]

【ネタバレ注意!】本記事はネタバレを含みます。本編を未読の方はご注意下さい!
 

連載再開です。

無人のコンビニ店内は、異変が起こった直後に時が止まったかのような、
外界から隔絶された空間となっています。

食料品や生活用品と一緒に英雄が手にしたのは、漫画誌。

命に関わる非常時には、おそらく最も必要とされないであろう漫画誌。

それを手に取ってしまうのは、英雄自身、まだ自分が漫画家であり、
自分の存在できる場所を漫画に求めているからかもしれません。


その後、代金を払おうにも、所持金が全く足りない英雄ですが、
払わない(払えない)ことを「世の中のせい」にしています。

以前タクシーに乗った時とは、大分違う対応になってきました。

コンビニが荒らされていないことに「さすが日本」とは言いつつ、
秩序が壊れ始めている現在の日本に、英雄も徐々に馴染んでいっているようですね。


さて、荒木のノートPCに表示されているZQN情報スレは、既に1024個目。

各所の事件発生(比呂美の感染など)から何日が経過したのかは不明ですが、
このスレの数からすると、相当なスピードで書き込みが行なわれていて、
同時に、まだ感染していない人々もそれなりに存在しているのが分かります。

ただ、「御殿場アウトレットに集まれ」と書く人がいれば、
「絶対に行くな」と返す人もいて、真偽が入り交じった情報が飛び交う
ネットの危うさがにじみ出ていて、なんとも嫌ーな予感がします。

荒木が御殿場アウトレットを目指しているのも、
ネットの情報に煽られてのことだとしたら、ちょっと危険な気もしますね。

壁紙にしている家族の写真を見る荒木に、
そこはかとない死亡フラグを感じ取ってしまうのは、気が早いでしょうか・・・。


1時間の休憩中、英雄は比呂美の身の回りのケアを行ないます。

手に付いた血を丁寧に拭き取り、下の世話から食事まで、
まるで介護士か、幼い子供を持つ親のように。

これは英雄が比呂美を人間として見ている証しでもあり、
多少のやましい部分もあり、それらが入り交じった上での行ないだと思います。

一方の荒木が手伝うこともなく、一人で寝ていることからも、
英雄の優しさが垣間見えるシーンでもありますね。

「早狩さん」が「比呂美ちゃん」になっていたことからも、
二人の距離が縮まったように見えます。

まあ、比呂美が感染したことが切っ掛けになったのは悲しいですが。


さて、この一連のシーンで注目したいのは、
英雄と比呂美との間にコミュニケーションが成立していることです。

完全に発症した感染者は、誰彼構わず噛みまくるのに対し、
比呂美は腕を掴んだり、箸を齧ったりする行動はあるものの、
英雄の言葉に反応し、僅かな感情さえも覗かせています。

このへんが他の感染者との明確な違いであり、
英雄が、まだ比呂美を「人間」であると思っている(思おうとしている)
理由と言えるでしょう。

ただ、そんな比呂美の口から出てきた名前は、
英雄ではなく、彼が会ったこともない別の男の名前。

第32話で、比呂美の携帯にたくさんのメールを送ってきていた
比呂美の彼氏・小栗真司。

目の前の男を真司として見ている比呂美に、
それを否定することなく「ありがとう」と返す英雄の表情が悲しい。

ただ、第32話のメールの内容からすると、
真司も既に感染しているような気がするのですが・・・。

今後、その真司と比呂美が対面することがあったとしても、
そこには悲劇しか待っていないと思います。

【追記】

第64話の記事はこちら


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