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戦うのは人としての意思か『アイアムアヒーロー』第60話 [アイアムアヒーロー]

【ネタバレ注意!】本記事はネタバレを含みます。本編を未読の方はご注意下さい!
 

裸足で歩を進める比呂美。

そこへ近づいてくる二人の感染者。

一人は頭部が陥没、左腕の肉が無く、右腕もポッキリいってしまって、
おまけに腸まで出ちゃっている、サラリーマン風男性。

腸が外まで出てしまっているということは、たぶんノーパンですな。

もう一人は全身に重度の火傷を負ったと思しき太めの女性(?)。

普通なら、どちらもとっくに死亡しているはずですが、
感染者なので当然、動き続けています。


感染者と対峙した比呂美ですが、ここで首を傾げるような動きをします。

この動きなのですが、僅かに残っている人間としての記憶(があると仮定して)
を辿っているのでしょうか。

「この人、誰だっけ?」もしくは
「ケンカって、どうやるんだっけ?」みたいな。

ここでちょっと面白いのは、感染者もこの比呂美と同じ動きをとったこと。

これは心理学でいうところの『同調(姿勢反響)』かもしれません。

つまり、感染者同士の、ある種の共感による反射的行動とも考えられます。


さて、ここから比呂美の攻撃が始まるわけですが、
当然、殴り合いなどしたことが無いでしょうから、
そのパンチは滑稽なほど典型的な“ねこパンチ”。

それに対し、感染者はポッキリ折れた腕で上手投げ一閃。

それを目の当たりにした荒木が
「ぜっ、全然ダメじゃんっ!」と意外そうな反応をしますが、
そもそも比呂美の働きに期待をしていたのは荒木本人のはず。

なので、英雄たちが比呂美の何を戦力として考え、車に載せていたのか、
そのへんを知りたいですね。


そして、この荒木。

比呂美はもちろん、英雄すらも置いて逃げようとします。

厳密には感染者と距離を取り、英雄へ銃の使用を促しているわけですが、
もし英雄に何かがあったら、速攻で逃げる算段でしょう。

やはり荒木という男、油断できない存在ですね。


投げられた比呂美は何事も無かったかのように起き上がり、
服に着いた草を両手で払い落とします。

この何気ない行動にも、比呂美がまだ人間としての意識を残している
その片鱗が伺えます。

完全に感染した者であれば、服の汚れなどは気にしないでしょう。

その人間としての意識なのか、逃走する英雄の顔を見た比呂美は
徒歩から小走り、さらに疾走へと変化し、感染者に追い付きます。

そして下あごを引きちぎり、一発逆転。

英雄に迫る危機を察知し、その危機を排除するため疾走し、
「噛む」という行為を防ぐために一番効果的な部位を狙い、
確実にそれを破壊した比呂美。

そこにはやはり、人間としての意志や知能が見られます。


半感染状態になった自分を、まだ人として見てくれている英雄への感謝なのか、
それ以外の感情から出た行動なのかは、まだ不明ですが、
比呂美のまっすぐな視線に、そこはかとない哀しみを見る思いでした。

【追記】

戦いはまだまだ続く!第61話の記事はこちら


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