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『トーマの心臓』を読んで [マンガ全般]

カミさんから『トーマの心臓』を借りて読みました。


傑作の誉れも高い萩尾望都さんの漫画ですね。
  
  
色んなところで語り尽くされているので、
私の個人的な感想を少し。
  
  
おそらく読者は、ユーリ、オスカー、エーリクの誰かに
感情移入しながら読んでいくことになると思います。

で、その感情移入した人物によって、
この物語の印象は大きく異なるのではないでしょうか。

私は、ユーリが心を閉ざしている理由が分からないままだったので、
物語の中の彼を取り巻く人々と同様に、
ユーリから少し距離を取るような感覚で読み進めていました。

なので、どちらかといえば、エーリクのような
ストレートな感情表現をする人物寄りの視点ですね。

だからというわけではないのでしょうが、
最後の最後でユーリの苦しみの理由が分かった時点で、
エーリクと同調するように、ユーリへの意識が氷解した気がします。
  
  
あと、個人的には、
全体的にピリピリした雰囲気の中にあって、
一人落ち着いたバッカスという存在が大きかったかな、と。

彼の登場によって、その場だけは、
なんとなく「安心感」みたいなものを感じました。

良いバイプレイヤーですね。
  
  
さてさて、表現的な古さはあるものの、
その根底に流れるテーマは昨今の漫画には無い、
非常に深く、重いものでした。

この作品を萩尾望都さんの最高傑作に挙げる人が
多いのもうなずけましたね。


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